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予防歯科

○世界の歯科医療システムは予防がベース
欧米ではかなり以前より歯科医療は予防がベースになっています。

スウェーデンでは3,4ヶ月ごとのメンテナンスが義務づけられていますが、口の中に詰め物をしてる方はほとんどいません。

またスウェーデンでは80歳までに失う歯が1〜2本程度なので入れ歯になる方もほとんどいません。
(ちなみに日本人が80歳までに失う歯は、28本中20本です。)

スウェーデンは50年前までは虫歯が日本の5倍もあったのですが、50年前より歯科メンテンス制をスタートさせてからはわずか5年で虫歯の発生が70分の1まで減少しました。

このように歯は予防さえすれば確実に残す事ができるのですが、日本での歯科保険には予防という処置は原則ありません。

それによって日本人は半ば強制的に削る抜くの治療のみを強いられていると言えます。

     

○歯科医療の真の目的は健全な食生活の維持
歯を失った場合、多くは入れ歯になるのですが入れ歯では、肉は噛み切れません。

「おいしくなんでも食べられる」事は、生物としての幸福の原点でもあり、食べる事によって明日頑張る気力と英気を養い、そして食べる事で命をつないでいるのです。

歯は物を食べる為の重要な器官であり、そして人体において唯一再生しない器官ですので、特に予防が大切なのです。
 
○若い時の歯の抜歯のほとんどが神経を抜いた歯
虫歯は歯髄まで達しないと痛みが出ません。

しかし痛みが出てからの受診では歯髄の中の感染した血管や神経を抜き取るという失活治療、つまり歯を殺す治療を行うしかありません。

死んでしまった歯はもろくなり、割れたり欠けたりしやすくなります。真っ二つに割れた場合は抜歯しなくてはならなくなるので、通常奥歯などの負荷がかかる歯は銀歯を被せます。

しかしもろくなった歯は銀歯の付け根より虫歯が発生する事が多く、発生した場合は全く痛みが生じないばかりか、銀歯を被せられた中で虫歯が進行し、表面に穴があいて来る事もありません。

やがて虫歯が骨まで進み、銀歯の中が空っぽになると、突然ボロっと取れてきます。

銀歯が取れたと患者さんが持ってきたとき、残った歯の中が大きな虫歯になってる事がありますが、レントゲンで修復不可能と判断された場合抜歯になります。

若い時はこのような抜歯が非常に多いので、神経を抜くような虫歯にならないように、また神経を抜いた歯が抜歯にならないように、最低でも1年に1回は定期健診を受ける事が重要です。

           
 
○60代からは歯周病で歯がグラグラしてきて抜歯になる
 歯周病は小学生ぐらいから歯肉炎という形で始まりますが、実際に症状がでるのはその50年後ぐらいからです。

歯を支えている骨が何十年もかけて少しずつ溶けていき、歯の根の先近くまで溶けた時、歯はぐらつき物が食べられなくなり、いやおう無しに咬合全体が崩壊していきます。

日本人が80歳で残る歯は8本程度ですが、抜歯原因で最も多いのが歯周病で歯がグラグラになる事です。

若いうちから歯周病に対して適切なメンテナンスをした方にはこのような事は起こりません。

      
 
○歯がダメになる原因そのものは、「細菌」と「力」
 人によって感染してる菌は異なります。

ファミリー歯科では初診の患者さんは必ず位相差顕微鏡で口腔内の菌を調べるのですが、感染してる菌の中には時折スピロヘータ属トレポネーマなどの非常に毒性度の高い菌がみられる場合もあります。

こういった菌が感染してて、歯周病の状態が悪く、歯磨き時に出血がある方などはトレポネーマを根絶する抗生物質を飲むとほとんどの方が一週間程で出血が止まります。

虫歯菌が全くいない方は虫歯になることがないのですが、上記のような菌が感染してる場合、歯科への受診する機会が無いと逆に歯周病を悪化させて早くに義歯になる方もいます。

このように口腔内にどのような菌が感染してるか知る事がその方のリスクを特定する事に繋がります。 
               


また歯に異常な力が加わると、割れたり折れたりする事があるばかりか、歯周病による骨の破壊が急激に進行するので、特に歯軋りなどをしてる方は若くして義歯になる方が多いです。
 
○細菌のコントロール(プラークコントロール)
 ばい菌のコントロールを行う方法は4つあります。

1、歯みがき

衛生指導を受けて、どこが磨けていてどこが磨けてないか、指摘を受けるだけで自然にブラッシングスキルが上がります。自己流の歯磨きではブラシがあたってないところは、何時間磨いても綺麗になりません。

2、マウスウォッシュ

市販のうがい薬では歯周病菌にしか効果がありませんが、歯科医院で手には入るグルコン酸クロルヘキシジンのうがい薬は虫歯菌にも殺菌力があります。ADA(アメリカ歯科医師会)とFDA(アメリカ医薬品局)が唯一歯科疾患に予防効果を認めてる薬品です。
こういったもので毎日何年も嗽を続けるだけでもかなりの予防効果が期待できます。

                
3、PMTC+除石

歯の表面には歯磨きでは取れないものがあります。

病的なものとしてはまずは歯石ですが、これが付いてる周りの歯肉は大抵赤く腫れています。

この歯石が歯の付け根から更に歯肉の中まで次第にもぐり込んで来ると歯周病は極端に悪化し、改善させる為には麻酔をして歯肉の奥に入り込んだ歯石をかき出さなければいけなくなります。

ですので、歯の付け根にうっすらついてる状態で定期的にクリーニングして取り除く事がとても重要です。

また細菌を生み出してる大元はバイオフィルムという歯面に形成された細菌の足場です。

このバイオフィルムこそ口腔を破壊する原因そのものなのですが、うがいでも歯磨きでも取り除く事ができません。

よってバイオフィルムを取り除く為に専用のゴムの器具で歯磨き粉より少し強い研磨剤で3、4ヶ月に一度クリーニングを行う事で大幅に口腔内での細菌活動を押さえ込む事が可能になります。

              
4、投薬除菌

トレポネーマなどの特別な細菌の感染がみられた場合、それにあった抗生物質の投薬により除菌できます。

一度除菌すれば再感染しない限りは一生口腔内に発生する事はありませんが、多くの方は周りの家族の方に感染してる事が多いので、家族で除菌する事が理想的です。


                      
 
○力のコントロール
 最も歯に急速な破壊をもたらすのは細菌ではなく歯にかかる異常な負荷であると私自身考えています。

ファミリー歯科では現在継続的にメンテナンスを受けてる患者さんが千人程いますが、どんなにプラークコントロールができていても歯が折れてきたり動揺が激しくなり急速に咬合崩壊を起こしていく患者さんがいます。

その多くは「歯軋り」や「くいしばり」が原因になっています。

これらはナイトガードといった保険の歯軋り防止装置の就寝時着用や保険の処置で咬合調整を行う事で大幅にコントロールできます。
(3割負担で5千円程度です。)

しかしながら長年、メンテナンスに通ってるデンタルIQの高い患者さんでも、勧めても希望されない患者さんが多いです。

これは歯軋りやくいしばりがの自覚が全くない事が大きな原因です。

また歯軋りは音が出る物と考えている人が多いですが、音が出るのは一部の方だけです。

強制的に使用させる事はできませんので、実際は歯がぐらついて来た状態を詳しく患者さんに見てもらいようやく開始する事が多いです。

                

もう一つの原因が歯の喪失によって残った歯にかかる負担増です。

部分的に欠損していてもそのままにしてる方がいますが、これにより咬合のバランスが崩れ、残った歯に更なる負担がかかってしまいます。

歯を喪失し、入れ歯を入れるべき人の中に、入れ歯がなくても噛めるという理由で入れ歯を入れない人が多いですが、本当に入れ歯無しでは何も食べれない状態になってから入れ歯を入れるのではなく、残った歯を長持ちさせる為に入れ歯を装着する必要があります。

入れ歯もポリアミド系の新しい入れ歯は見た目入れ歯を入れてるようには見えず、柔らかく装着感フィット感がよく歯に負担がかかりません。

保険の金属の針金で歯に引っ掛ける義歯は針金が硬いと歯に負担をかけてしまい、結果義歯を入れた事で逆に歯が弱ってしまう事があります。

ポリアミド系の柔らかい義歯は2007年ぐらいに日本で認可を受けましたが、実際当時より装着した患者さんを観察してると明らかに残った歯が長持ちしています。

               

3つ目の原因は悪い歯並びです。

歯並びが悪い事は、それだけで歯磨きに支障が生じ歯周病が悪化します。

そして我々が物を食べるときは実際は下顎を回すように複雑な動きをとって咀嚼を行っていますが、前歯がジグザクに出たり引っ込んでたりすると、顎の運動に対してぶつかり合うような不具合が生じます。

よって歯並びが悪く歯の干渉が強く起こる場所は早い年齢から動揺が生じます。

見た目としても海外では歯並びが悪い事は醜く不健康にみえる事なので、矯正により美しく健康な歯列を作っていく事は個人の人生や生活の上で極めて重要だと思います。
                  
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